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DATE: CATEGORY:楽器演奏
左手の興味を察したお兄ちゃんは、仕組みを指を導きながら丁寧に教えてくれました。

「左の薬指でくぼんだボタン押してごらん。どんな音がするのかなぁ?」

左の親指と人差し指を空気ボタンから離して、薬指の指先を突き出し、先ほど数えたボタンの表面を自力で撫でながらくぼみを探しました。

「あったー。」

歓声を上げると、グイッと押し続けました。蛇腹が開くと、腕がとられるようになったので、動きを大きくしました。左のグリルから野太い音が鳴っていました。

「見つけられたね。何の音?」

「ドー。」

大きな声で音程に合わせて答えました。

「きれいな声しているね。」

「うん。歌うの大好き。」

咄嗟に右手のドもグイッと押さえていました。音色スイッチが全開だったので、両耳に大きな響きが聞こえ出しました。

「ほーら。合ってい♪こーんなに広がっている♪扇子みたいで気持ちいい♪」

「そうだね。ほら、ここのボタンも凹んでいるよ。」

お兄ちゃんは、凹んでいるボタンを押して、空いた人差し指の指先を導いて押さえさせました。お兄ちゃんと向かい合って話しながら長短をつけて音を出していました。

「左のレは人差し指。」

「ここ。あったー。右手も鳴らしてみるね。合っている?」

「きれいに響いているよ。」

「ミはくぼんだボタンの前に薬指。」

「ここ。あったー。合っている?」

「きれいきれい。」

「ファはくぼんだボタンの下。」

「ここ。」

「ソはくぼんだボタンの上。」

「ここ。」

「ラはくぼんだボタンの斜め下。」

「ここ。」

「シは今押したボタンの1つとばしたところ。」

「ここ。」

「ドに戻るよ。くぼんだところ。」

「ここ。」

おっかなびっくり両手で探りながら音階を覚えました。音が重なると、蛇腹操作を強くしてハキハキした音を出していました。オルガン教室に通っていた私は、黒鍵の多いスケールには苦手意識がありました。右手の理解が出来ても、左手のミスが多く、リズムが乱れて曲になるのにとても苦労していたのです。ところが、アコーディオンの左手では、黒鍵があっても薬指と人差し指でボタンを1つ飛ばしに押すと色々な音階でも弾けることが頭に入り、右手より上下差がなくて楽だと思いました。右手の黒鍵位置にだけ集中出来るアコーディオンは、演奏の幅を広げてくれて嬉しくなりました。やがて、オルガン教室で覚えた曲やテレビ・ラジオで耳コピした曲を鼻歌のように「ムー」とハミングしながら、キーとボタンを押して、左右で弾いて楽しむようになりました。ハミングと指がうまく合っているとにっこりし、合っていないと曇った顔をし、ゆっくりしたテンポで何度も何度も弾き直して、お兄ちゃんに聞いてもらっていました。夢中になっていると、ベローイングが途切れて、音が急に弱くなってしまいました。そんなときは、音の途中でも蛇腹を閉じたり開いたりして、つないでいました。頭で拍子を取れるようになると、だんだん規則的に開閉して音の大きさが揃ってきました。

オルガンの教則本や曲集は、ハ調、ト調、へ調といったよく使うキーの音階に慣れ、黒鍵の場所をきちんと捉えながら指を広げたり狭めたり出来るものでした。アコーディオンの音域もこれに合致していて、転調しても1オクターブ以内で弾け、両手が崩壊しにくかったです。「茶色の小瓶」「楽しき農夫」「蜂が飛ぶ」といった曲をユニゾンしていました。「アビニョンの橋で」も細かい音符になってきましたが、弾き始めのキーを変えても左手がハ調と同じ指で、左右がオルガンより簡単に合うと、すごく嬉しがっていました。アコーディオンのおかげで、オルガンの練習にも自信がついていきました。ハ調は赤、ト調はオレンジ、へ調は黄色という具合に、「音に色があるね。」とお兄ちゃんにしきりに語りかけていました。すっかり音楽が楽しくなっていました。
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