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DATE: CATEGORY:あかりの思い出
おやつの支度が出来ると、Nー35を卓袱台下の足がぶつからない場所に置きました。おやつは、日によってはトマトやキュウリのときもありました。井戸水で冷やした穫れたての果実、果物は体にいいものだったと思い起こしています。手分けして卓袱台に運びました。みんなで集まってのおやつは、いいコミニュケーションの手段だったと思っています。

食べ終わると、ぬれ手ぬぐいで手をしっかり拭きました。

「よっちゃん、床の間に戻ろう。」

「はい。」

再び右手のひらで握りしめると、親指と人差し指をボタンの側面に移し、挟みながら歩きました。好奇心旺盛な私は、今度はいろいろな方向からボタンを押して遊び始めました。母はずっと指先に触れていたずらの相手をしてくれました。

「中身がなくなるから、ボタンのおいたは消したままやってね。」

「はい。」

当時の電池はたいへん高価なものだったので、大切にしていました。

「左側から押してみるよ。どう?」

「凹んでるね。」

「右側から押してみるよ。ほら。」

「凹んでるね。」

「後ろから。」

「凹んでいる。」

「前から。」

「凹んでいる。よく見てみな。あんたが押さえている方に隙間が出来ているでしょう。」

「うーん。よーくわかる。」

「爪が食い込んでいるでしょう。ボタンホールっていうんだよ。」

「うーん、わかる。」

「角と角、親指と人差し指でねじっても凹むね。おもしろーい。」

対角線という言葉を知らなかったので、こう言いました。

「赤丸のみたいにクルッて回っている感じがするでしょう。」

「うーん。」

「お母さん、また、チクチクするから、照らしてごらん。」

「はい。」

(カチッギューッ)

「ほら、いろいろなところからボタン押さえても、ちゃーんと点くんだね。」

「そうだよ。急いで点けるときは、便利でしょう?」

「うーん。おもしろーい。」

常時点灯位置に切り替えると、ボタンの凹み方を観察し続けました。

セミ時雨が聞こえ、西陽がわずかに入り込んだ部屋で、N-35の優しい光で手元を照らし、のどかな時間を過ごしていました。
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