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DATE: CATEGORY:あかりの思い出
旧盆を挟んで、母の実家に行くことは、子どもの頃の大きなイヴェントになっていました。母と私が先に行き、小学校教師だった父が、夏休みに入ると合流し、期を一にして、親戚一同が合流し、賑やかに過ごしていました。

2歳半になろうとするそんな真夏のある日のことです。物心ついた私は、母が、井戸水汲みのため、かもいから懐中電灯を取る姿に目が行き、点灯させてみたくなりました。


「でんち点けたい。」

「いいよ。しっかりにぎにぎしてね。」

母は、N-9をヒートンから外し、しっかり手渡しました。

「重ーい。」

牛乳瓶の底を思わせるレンズが、とてもユーモラスに見えました。両手の平で胴体を支えました。筒先を前に向け直し、右手のひらで握りしめました。

「ここ、パチンしてね。お片付けできなくなるから。」

左手の人差し指を導いてもらい、電池蓋のフックを本体に止めました。

「はい。」

左の人差し指を突き出しボタンをポンポンと押してみました。

「点かないね。」

「これ上げないと。」

操作に戸惑っていると、母は、左の親指をスライドに導き上げさせました。

(カチ)

「止まった。バタン、押してもいい?」

まだ歯が生えそろっていなかったので発音が悪かったです。

「いいよ。バタンじゃなくて、ボタン。」

「ボ・タ・ン。(ゆっくり言い直しました。)おうちの目覚まし時計みたい。」

「ほんとうだね。」

「(ギューッ)点いた、点いた。(人差し指で押し続けました。苦労して得た光を顔にあて、満足していました。)離すと消えちゃう。(べそかき顔で、叫びました。)ボタンがクルクル回っているね。(親指と人差し指で自然にボタンを挟むようになりました。)」

「面取りっていうんだよ。」

「面取り?」

「どこから押しても、点けやすくなっているんだよ。」

「うーん。こうやるとずっと点いている。」

「よかったね。でも、お母さんは、ここではあんまり点けていないよ。」

「うーん。どうして?」

「もう1つ上げてみな。ずっと点いているから。」

人差し指を緩め親指を添えてもらい、スライドをもう1段上げました。

(カチ)

「ほんとうだ。やわらかーい。ボタンも押せるし回せる。」

「いい感じでしょう。」

母は、親指と人差し指を触れ続けてくれました。

「スライド戻してみるね。(カチ、ギューッ)押すとまた点けられる。ああ、離すと消えちゃう。(ギュッギュ

ッ...)ピカピカできる。(カチッ、ギューッ)消えた。おもしろーい。」

「さぁ、井戸へ行くよ。お水汲むから照らしてね。練習してみよう。」

「はい。」

土間でつっかけを履き、井戸端まで歩きました。

「蛍光灯はボタン離すと点くけど、でんちは逆なんだね。中どうなっているんだろうね。」

父に、明視スタンドの裏ブタを外してもらい、OnとOffのボタンを押すと接点がついたり離れたりするのを興味深く見ていたのを覚えていたのです。

「お仕事が終わったら、ふたを開けておいたしていいからね。さぁ、つるべ落としたら、井戸の底を照ら

して。」

スライドをフラッシュ位置にしたり、常時点灯位置にしたりして、水底を照らしていました。

水がある程度たまると、消灯させ、井戸端に置き、母といっしょに大きな手桶を使って、すいかを冷やすたらい、台所の水瓶、檜風呂に運びました。

子どもにとっては長い時間の作業でしたが、井戸に落とすこともなく大成功し、母にほめられ気をよくしていました。

今思うと、胴体のコルゲートが支えやすかったし、倒しても安定して照らせたのでしょう。触れた後の胴体の金臭さとボタンの牛乳臭さが、忘れられません。胴体は真鍮製で、ボタンはカゼインという牛乳由来の副産物で出来ていました。ちなみに、当時の製品は、ビニトップ製のものもあり、真鍮製のものがビニトップ製のものよりも、当時の値段で30円割高でした。母は、いいものを大切に使うという主義から、真鍮製を選んだものと思われます。
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